廃校となってそれから誰よりも 繊細な紅葉を見ている
裏門はわたしのために開かれて 窓から見える警備のひかり
きっとあなたもきらいな怠惰 うれしいときにうれしいと言う
やわらかく足でつぶした空き缶を そこらに置いて部室へ戻る
香水にまけて校舎を出るときの 暇に慣れてすずしい真昼
天井に嵌められている蛍光灯の 落下を思う授業の合間
学校を目の前にしてここからは 噓ばかりが言葉になっていく
床板がシーシャに焦げた一昨年で 自傷を終えてしまったという
先輩のいない夢でも泳いでいた エイを水と抱えるガラスの厚み
もちもちのぬいぐるみから 触れられて 水槽みたいにあかるい出店
卒業とともに校舎は閉ざされて それでも光る廊下があった
控えめな場所を選んだ寄せ書きの 似たひとばかり集まった場所
鳩が鳩追うように 自らひとりにはなれなくて 明けない話
浅はかな返事をしたり 愛したりしてあなたから もらえる火種
暴力を知る子に近く這う蚯蚓
つむじ風 家帰らない 帰れない家を横目に 寝に帰る家
うまいこと言おうよ2021 ラブでいようよ 揺蕩う舟に
後輩に適当言っているときの あたしの目が生きていてごめんね
理性みたいな撫で方をして この部屋でもっともでかい 人間だった
年々軽くなってるあたしが ちょっとだけ今だけ座る 石とかコンクリ
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